西村慶明のナローワールドをお楽しみください

オーストラリアはニューサウスウェールズ州のの北、ほとんどクインズランド州に接するあたりに、リッチモンド・リバーが流れています。オーストラリアには数少ない大河のひとつで、110年前からこの河を交通路として、沿岸の開拓や鉱山の開発が行われてきました・・・。と、ここまではオーストリア史にもある本当のこと。あとはシドニーに長く滞在して見聞きした材料を元手に、イメージを大きく膨らませて、自由気ままに造っていったのが、私のオーストラリア・ナローセクションなのです。時代は1920年代。オーストラリアはまだイギリスの植民地でしたが、イギリス人が持ち込んだ機械や機関車は風土が大きく異なるオーストラリアではうまく使えない。そこでアメリカ製の利点も取り入れて、独自の使い方を開拓してゆくことになるのでした。

ホッパー
バッジャーというニッケル採掘会社の専用桟橋で、ホッパーになっています。なべとろ(ティップトラック)をボールドウインが押し上げて、鉱石をバージに積み込むのです。反対側に接舷しているのは、現地建造の怪しげな外輪カーフェリー。鉱山へ人と物資を運びます。

サウスワーフ
河に突き出して造られた岸壁です。小麦を船に積み込むための穀物エレベーターの建物が突端にあり、蒸気でバキュームを作って穀物を上階へ吸い上げ、また船倉へと送り出します。続いて3連の倉庫が並びます。倉庫の側は日射をさけるためテラスになっており、鋳鉄製の柵、アイアンレースがついているのがいかにもオーストラリア。倉庫の表はジェネラルカーゴの荷卸し場になっています。海外からの船も着くので、ちいさな税関もあります。

造船所
ボートハウスと称する小型蒸気船専門の造船所。ボートを船台に載せ、ランプで引き揚げます。動力は屋外に置かれた蒸気ウインチです。乾季で植物が枯れてしまった真夏の風景です。

トラムウェイ・ピア
木造桟橋の上が路面電車の停留所になっています。船が重要な交通手段だった頃には、桟橋上に駅や停留所が設けられていました。そこで今、散水トラムが給水中。給水ポンプとして用いられているのは、アーレンス・フォックスの消防車で、ジョーダン製の1/87キットの組み立てです。メリーウェザーのスチームトラムはスクラッチビルド。散水車もフラットカーからの改造です。なお木造桟橋部のゲージ幅は16.5mmです。